部屋の隅やクローゼットの裏側の壁を、ふと見たら黒い点々が――。よく見ると、壁紙にうっすらとカビが広がっている。そんな経験はありませんか?
壁紙は部屋の中でいちばん面積が広いのに、家具で隠れていたり、ふだんあまり近づかなかったりして、カビが進んでから気づくことが多い場所です。とくに北側の部屋や、家具を壁にぴったりつけているところは要注意です。
この記事では、壁紙にカビが生えてしまう原因から、壁紙の種類に合わせたカビの落とし方、そして再発を防ぐコツまで、順番に見ていきましょう。
壁紙にカビが生える3つの原因
壁紙のカビは、ただ汚れているから生えるわけではありません。いくつかの条件が重なることで、カビが繁殖しやすい環境ができあがってしまいます。まずは原因を整理してみます。
① 結露や湿気で壁が湿っている
壁紙のカビでいちばん多い原因が、結露や湿気です。
冬場や梅雨時期、室内と外気の温度差が大きくなると、外に面した壁の表面が冷やされて水滴が付くことがあります。とくに北側の壁や、窓のそば、家の角にあたる部屋は冷えやすく、知らないうちに壁が湿っていることが少なくありません。
カビは湿度が高い環境で活発に繁殖しやすい性質があります。結露や湿気で壁紙が湿った状態が続くと、その部分にカビが集中して出やすくなります。
② ホコリや皮脂などの汚れが栄養源になっている
湿気だけではカビは生えにくく、繁殖には「栄養源」が必要になります。つまり、清潔な壁紙ならある程度湿気があっても出にくく、逆に汚れがたまった壁紙は少しの湿気でもカビが広がりやすくなります。
壁紙の表面には、目に見えにくいホコリ・手あか・料理の油煙・タバコのヤニなどが少しずつ付着しています。これらがカビの栄養になり、湿気と合わさることでカビが増えていきます。
長い間掃除していない壁ほどカビが出やすいのは、この栄養源がたまっているためです。とくにキッチンまわりや、手が触れやすいスイッチ付近、ベッドの頭側の壁などは汚れが付きやすい傾向があります。
③ 家具の裏や通気の悪い場所で空気が動かない
家具を壁にぴったりつけていると、その隙間は風が通らず、湿った空気がこもります。
たとえば、タンスやベッド、本棚の裏側は、湿気が逃げにくいうえに掃除も届きにくい場所です。クローゼットや押入れに面した壁、部屋の四隅も空気が動きにくく、カビが発生しやすい環境になっています。
部屋全体の換気をしていても、こうした「空気のよどみ」がある場所は湿気を抱え込みやすく、カビがじわじわと広がっていきます。
壁紙のカビを落とす方法

壁紙のカビは、壁紙の種類とカビの進み具合によって対処法が変わります。自己流で薬剤を使うと変色やシミの原因になるので、まずは壁紙の素材を確認してから作業しましょう。
ご自宅の壁紙の多くは、表面に塩化ビニール(プラスチックの一種)を使った「ビニールクロス」と呼ばれるタイプです。表面が水をはじくので、軽いカビなら拭き取れることがあります。一方で、紙や布、塗り壁(珪藻土・漆喰など)の場合は、水や薬剤がシミになりやすく、自分での処理には向きません。判断に迷うときは、無理をせず管理会社や専門業者に相談するのが安心です。
① ビニールクロスの軽いカビ:消毒用エタノールで拭き取る
表面にうっすらと黒い点が出ている程度の軽いカビなら、消毒用エタノールで拭き取る方法が比較的扱いやすいです。エタノールはカビの菌をおさえる働きがありますが、漂白する力はないため、黒い色素がうっすら残ることもあります。
やり方
- 窓を開けて換気し、ゴム手袋とマスクを着用する
- 乾いた布やキッチンペーパーで、カビの上のホコリをそっと拭き取る(こすると胞子が広がるので、押さえるように)
- 消毒用エタノールを布に含ませ、目立たない場所で変色しないか試してから、カビの部分をやさしく拭く
- 数分おいて、固く絞った布で乾拭きする
- その日のうちにしっかり乾かす(扇風機やサーキュレーターで風を当てると安心)
ポイント
- エタノールは火気のそばで使わない。作業中・作業後はしっかり換気する
- スプレーを直接吹きかけると壁紙の継ぎ目から下地に染み込むことがあるので、布に含ませてから拭く
- こすりすぎると壁紙のシボ(凹凸)や柄が傷むので、力を入れすぎない
② ビニールクロスの頑固な黒カビ:壁紙対応のカビ取り剤を使う
黒ずみがしっかり根づいてしまい、エタノールでは落ちないときは、壁紙対応をうたったカビ取り剤(ジェルタイプなど)を使う方法があります。ジェルタイプは液だれしにくく、壁面でも使いやすいのが特徴です。
やり方
- 換気をして、ゴム手袋・マスク・必要なら保護メガネを着ける
- 必ず目立たない場所で試し、変色しないか確認する
- 製品の表示に従ってカビの部分に塗布し、決められた時間だけ置く
- 固く絞った布でていねいに拭き取り、薬剤が残らないよう乾いた布で仕上げる
- 完全に乾かす
ポイント
- 浴室用などの強い塩素系カビ取り剤は、壁紙が脱色したり下地が傷んだりすることがあります。使うなら「壁紙に使える」と明記された製品を選び、目立たない場所でのテストを必ず行ってください
- 重曹はカビ自体を取り除く力は弱めで、軽い汚れ落としには向きますが黒カビには本命ではありません
- 塩素系の製品と酸性のものを混ぜると有害なガスが出ます。ほかの洗剤と一緒に使わないでください
③ 紙・布クロスや塗り壁:自分で薬剤を使わず専門家へ
「紙クロス」「布クロス」「珪藻土・漆喰などの塗り壁」は、水や薬剤を含むとシミになったり、素材そのものが傷んだりします。家庭での無理な処理はかえって状態を悪くしてしまうことがあるため、おすすめできません。
判断の目安
- まず壁紙の素材を確認する(賃貸なら管理会社に種類を聞くのも一つの方法)
- 表面の乾いたホコリを、乾いた布でそっと取り除く程度にとどめる
- カビが気になる範囲には触らず、ハウスクリーニングやリフォーム業者に相談する
紙や布、塗り壁は繊維や素材の奥に菌が入り込みやすく、表面だけ拭いても再発しやすい素材です。早めに専門家へ相談したほうが、結果的にきれいに収まることが多いです。
④ 下地まで広がっている・何度も再発する場合:リフォームや業者に相談
次のような場合は、壁紙の表面だけの問題ではなく、下地(石膏ボードなど)や壁の内部にまでカビが広がっている可能性があります。
- 壁紙をめくると裏側まで黒くなっている
- 掃除しても短い期間で同じ場所に再発する
- 壁が広い範囲でブヨブヨ・ボコボコしている
こうなると、家庭での拭き掃除では追いつきません。無理に削ったり水を使ったりすると、かえって被害が広がることもあります。リフォーム業者やカビの専門業者に状態を見てもらい、張り替えや下地処理を含めて相談するのが安心です。賃貸住宅の場合は、自分で対処する前にまず管理会社や大家さんへ連絡しましょう。
壁紙のカビを防ぐ4つのコツ
一度カビを落としても、同じ環境のままだとまた出てきてしまいます。日頃のちょっとした工夫で、カビの発生をぐっと抑えられます。
① 結露をこまめに拭き取る
カビ予防の基本は、湿気を放置しないことです。
窓や、外に面した壁に水滴が付いているのを見つけたら、使い古しのタオルやスクイージーでサッと拭き取りましょう。結露した水分が壁紙にしみ込む前に取り除ければ、カビの発生源を減らせます。
毎日拭くのが大変な場合は、窓に結露吸水テープを貼ったり、結露しやすい時期だけ意識して見回ったりするだけでも違います。
② こまめに換気して空気を動かす
部屋の空気がよどんでいると、湿気が一か所にたまってカビが出やすくなります。
1日数回、窓を開けて空気を入れ替えるだけでも、室内の湿気はかなり逃げていきます。窓が一つしかない部屋は、扇風機やサーキュレーターを回して空気の通り道を作ると、湿気がこもりにくくなります。とくに結露しやすい冬場や梅雨時期は、短い時間でもこまめに換気を心がけてみてください。
③ 家具は壁から少し離して置く
タンスやベッド、本棚などの大きな家具は、壁にぴったりつけず、5cmほど隙間をあけて置くのがおすすめです。
わずかな隙間でも空気が通るようになり、家具の裏に湿気がこもりにくくなります。模様替えのタイミングで配置を見直したり、ときどき家具を少し動かして裏側のホコリを掃除したりするだけでも、カビが出にくくなります。
④ 除湿機や除湿剤で湿度をコントロールする
室内の湿度自体を下げることも、カビ予防には効果的です。
梅雨時期や結露シーズンは、除湿機やエアコンの除湿機能を使って、湿度を60%以下に保つことを意識してみてください。クローゼットや部屋の隅など空気がこもりやすい場所には、置き型の除湿剤を使うのも手軽な方法です。
部屋干しの洗濯物を壁ぎわで干すと、壁紙が湿気を吸ってしまいます。できれば壁から離れた場所で、サーキュレーターを当てながら乾かすようにしましょう。
まとめ
壁紙のカビは、湿気と汚れ、そして空気のよどみが重なることで生えてしまうものです。原因を知って、壁紙の種類に合った方法でケアすれば、軽いうちなら自分でも対処できます。
カビが生える主な原因
- 結露や湿気で壁が湿っている
- ホコリや皮脂などの汚れが栄養源になっている
- 家具の裏や通気の悪い場所で空気が動かない
カビの落とし方(壁紙の種類別)
- ビニールクロスの軽いカビ:消毒用エタノールで拭き取る
- ビニールクロスの頑固な黒カビ:壁紙対応のカビ取り剤を使う
- 紙・布クロス・塗り壁:自分で薬剤を使わず専門家へ相談
- 下地まで広がっている場合:リフォームや業者に相談
予防のコツ
- 結露をこまめに拭き取る
- こまめに換気して空気を動かす
- 家具は壁から少し離して置く
- 除湿機や除湿剤で湿度をコントロールする
壁紙のカビは、奥まで入り込むと完全に取り除くのが難しくなります。「最近この部屋、なんだか湿気が気になるな」と思ったタイミングで、結露を拭いたり換気をしたりするだけでも、カビの発生をかなり抑えられます。気持ちよく過ごせる部屋を目指して、できるところから少しずつ取り入れてみてください。
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